先日たまたま見つけた本ですが、なかなか面白い。だいたい妊娠、出産、育児本って女性に向けて書かれたものが多いですが、これは、完全に男性向けの本です。パパが知っておくべき子どものとの接し方や、知っていると奥さんに「すごい!」と言われるような、子どもの症状の判断方法などが書かれています。
奥さんが出産後に家庭内がうまくいかなくなった人への対処方法も載っているので、一度読んでみると良いかもしれません。
・子どもを抱きすぎてはだめ?
子どもの抱き過ぎは子どもを甘やかせてしまうからと言って、警戒している人がいますが、赤ちゃんと密接な絆作りをしようと考えてるのなら、抱きすぎということはないそうです。アメリカの多数の大学で行われた調査結果から、十分に抱かれた乳幼児ほど成長が早く、知能や運動能力の発達がよく、幼児期を過ぎると適切に自立するそうです。
なんとなく、「だきぐせがつく」「子どもが自立できないようになる」などという言葉を聞いたことがありますが、実際にはそんなことがないのだと安心しました。
この情報は、今後の子育てにかなり参考になりました。
・育児中の奥さんがイライラしてきたら
これに関しては、すばらしい文章があったので、引用させてもらいます。
一般的に男性は、すぐに問題の答えを出そうとします。しかしほとんどの女性(私たちの奥さんも)は、「簡単な解決策を聞きたいのではない」と私たちに言います。解決してほしいのではなく、母乳育児の大変さを理解し、それをサポートしてくれようとする気持ちがほしいのです。さあ、奥さんを勇気づける言葉を用意できましたか? あなたの奥さんは、それを待っているのです。
たしかに、自分も男だからわかるのですが、すぐに「結論」を探したくなります。しかし、女性が本当に欲しいのは「共感」して欲しいことなんですね。
とても勉強になります。
他に、仕事から帰るときに奥さんに一本電話を入れて、何か買ってきてほしいものがないか聞くのも効果的だそうです。赤ちゃんをかかえながら買い物に行くのは大変なので、ついでに買ってきてあげることで、かなり助かるのだそうです。
こういうことを事前に勉強しておくと、出産後に結婚後最大の危機が来るという友達の言葉も乗り越えられるような気がします。
あと、寝る前に床に落ちているもの(脱ぎ捨ての服や、子どものおもちゃなど)を10個拾って寝ると、夫婦関係が良くなるという著者の実体験も書いてありました。
・母乳育児の効果
この本では、たびたび母乳育児の万能さについて説明しています。この本によると、母乳育児で育った赤ちゃんはアレルギーやぜんそくが起こりにくく、さまざまな病気にかかりにくくなり、乳幼児突然死症候群からも赤ちゃんを守ってくれ、母乳で育った子どもや大人はがんや糖尿病の発生率も低くなる傾向があるそうです。
母乳は子どもの脳を育てる働きもあり、母乳で育た赤ちゃんは、母乳期間が長ければ長いほど、IQが高くなる傾向にあるそうで、最低1年は母乳育児を続けるべきで、2年続けばもっと良いそうです。
さらに、母体にも良い影響があり、母乳育児を1年以上続けた女性は、乳がん、子宮がんのリスクが低くなるそうです。
また、母乳育児を実践している母親のほうが、産後のうつ状態からより短期間で回復できることも示しているそうです。
母乳育児の大切さがわかりました。
・新生児がかかりやすい15のトラブル
新生児がかかりやすい15のトラブルと、その対処方法について書いてありました。
・しゃっくり
おっぱいの後で、数分間しゃっくりが出る赤ちゃんは多いものです。
・吐きもどし
赤ちゃんの中には、授乳のたびに飲んだすべての量を吐き出してしまうように思える子もいます。赤ちゃんがご機嫌で、満足していて、体重も増えているのであれば心配はいりません。問題は洗濯であって、健康には問題ありません。
・おむつかぶれ
うんちで汚れるおしりのまわりはどうしてもかぶれてしまいがちになります。かぶれたところが少し出血してしまう子もいるでしょう。おむつはまめに替えてあげましょう。
・鼻づまりで呼吸が苦しそう
多くの赤ちゃんが、生まれて数週間は軽い鼻づまりです。いいえ、これは病気ではありません。赤ちゃんの鼻は空気のある生活に慣れようとしています。これも、いずれ通るようになるでしょう。赤ちゃんの鼻の通りをよくするために、生理食塩水で鼻を洗浄してあげたり、鼻吸い器で吸ってあげてもいいでしょう。
・発疹
多くの赤ちゃんは顔や首、上半身に湿疹や吹き出物、斑点などが見られます。これは新生児によく見られますが、原因ははっきりしていません。いずれ自然に消えていきます。
・肌の乾燥、剥離
赤ちゃんの肌は、生後数日間は乾燥して肌がボロボロしているように見えます。特に手足が気になる人が多いようです。でもローションなどをつける必要はありません。実際、肌は乾燥しているわけではありません。羊水に浸っていた表皮の外層が剥がれ落ちているだけで、その下にある肌はちゃんと健康です。
・頭のかさぶた
新生児頭部皮膚炎と呼ばれます。衛生状態が悪いというわけではありませんし、問題もありません。沐浴の前に、かさぶたをふやかすためにオリーブオイルをすり込み、そっとくしを通してかさぶたをとります。おそらくお母さんはこのテクニックを知らないでしょうから、あなたは物知り博士のように思われるでしょう。
・ガス
すでての赤ちゃんがおならをします。ガスが原因でひどくぐずるようなことがない限り、特に心配しないでいいでしょう。ガスのせいでお腹が痛そうにしているような場合は、一度医師に相談したほうがいいでしょう。
・くしゃみ
新生児のことから赤ちゃんはけっこうくしゃみをするものです。これはアレルギーや風邪のサインではありません。赤ちゃんが鼻を清潔に保つための方法のひとつにすぎません。
・性器からのおりものや出血
女の子の場合、最初の1~2週間にこれらの症状が見られるのは普通のことです。
・おしっこがかすかに赤い
おむつに赤いレンガの粉末のようなものがついていることがあっても、心配しないでください。これは出血ではなく、数日でおさまります。
・呼吸が乱れる
新生児の場合、数秒にわたって早い呼吸をしていたかと思うと、しばらく止めることもあります。これは普通です。
・目の中の赤い斑点
出産時に産道で圧迫されたせいで、白目の部分に赤い斑点ができることがあります。数週間で消えていきます。白目のほとんどが赤くなってしまった場合は、医師に診察してもらいましょう。
・緑色の目やに
これも、かなり一般的です。赤くない限りは、特に心配はいりません。授乳後、母乳を数滴両目にたらしてください。そうです、おっぱいです。母乳は万能薬です。
・けいれん
赤ちゃんのほとんどは、手足を短くけいれんさせることがあります。特に眠っている間によく見られます。これは未熟な神経システムが原因です。けいれんが30秒以上続くようならば医師に相談してください。
これらを事前に学んでおけば、何かトラブルがあっても適切に対応ができそうですね。
・テレビについて
過剰にテレビを見ている赤ちゃんや子どもたちは、学校に通い始める年齢になると、学習生涯や注意欠陥、問題行動などをおこしやすいく、米国小児科学会では、最初の2年間はテレビは必要ないと述べていると書いてありました。
最近、周りで子育てをしている人たちの話しを聞くと、子どもになるべくテレビを見させないようにしているという家庭が多い気がします。我が家もなるべくテレビを見ない家庭にしたかったのですが、やっぱりテレビを過剰に見せるのは良くないのですね。
・自分の時間が欲しいとき
著者は、家でテレビを見たり、本を読んだりしたいときには赤ちゃんを抱くことにしたそうです。というのは、奥さんが頼み事をするときには必ず、「私は赤ちゃんに〜をしているから」という言葉がつくので、自分が赤ちゃんと一緒にいることにしたそうで、そうしてから、自分の時間を作れるようになったそうです。
しかし、片手で赤ちゃんを抱いているから、両手で何かをすることはできないと言っていましたが。
・妊娠中の妻とのつきあい方8か条
これは、本の最後に日本語版の監修をした竹内正人さんが書いた内容ですが、なかなか勉強になりました。
「妊娠中の妻とのつきあい方8か条」
1.変化を受け入れて一緒に楽しむこと
(妻の体と心の変化を感じ取ろう)
2.他人と比較して奥さんにあてはめないこと
(何事にも個人差がある)
3.妻の話はとにかく聞くこと
(中途半端なコメントやまとめは不要です)
4.自分も一緒に我慢している姿勢を見せること
5.攻めたり、否定したりするような言い方をしないこと
6.無駄に励まさないこと
(つらい気持ちは受け止めてあげよう)
7.メール、電話など連絡は普段よりまめにすること
8.夫婦で妊娠期間をどうすごしたかで、出産・育児が変わってくると意識すること
7のメールや電話をまめにすること以外はできているとは思いますが、あくまで自分で出来ていると思っているだけなので、実際はどうかわかりませんが、妊娠、育児中の夫婦の関係性も、子どもの成長に少なからず関わってくると思っていますので、夫婦仲良くしていこうと思いました。
・まとめ
男性向けに書かれているので、今までの妊娠、出産、育児本よりも、男として「なるほど」と思う部分が多かった気がします。アマゾンのレビューを見ても夫にプレゼントしたという人が複数いて、評価も高評価でした。
うちの奥さんも読みましたが、読みやすいと言って2時間ですべて読みきってしまいました。読書が苦手な人でも章立てになっていて、気になる内容の章から読むこともできるので、読みやすいと思います。
妊娠中や出産後に夫婦関係が悪くなった人や、二人で育児をがんばって、妊娠、出産、育児を家族のイベントとして楽しもうと思っている人に良い一冊だと思いました。
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